小さい時、
年子のお姉ちゃんの目の下には、
いちご状血管腫という
赤いほくろのようなものがあった。
今になってその赤いほくろの本当の名前を知ったけど、
小さかった私にとってそれは「赤ぼくろ」だった。
私には黒いほくろしかないのに、
お姉ちゃんはすごいなと、感心していた。
だけどその赤ぼくろは、
おばぁちゃんにも、お母さんにも小さい時にあったという。
それを聞いた私は、生まれてきて初めて
すごく大きな不安を感じた。
私だけその赤ぼくろがなかったからだ。
目をこらして体中を探した。
私は必死だった。
だって赤ぼくろは、うちの家族のしるしだったから。
けれど、私にはそのしるしがなかったのだ。
赤の油性ペンで私は赤ぼくろを書いた。
書いては消え、消えては書いて。
お姉ちゃんの赤ぼくろは、
歳を重ねるほど薄くなり消えた。
私の不安も同じように消えて、
赤ぼくろがなくなった頃には、そんな不安も忘れていた。
��歳になって、妹が生まれた。
生まれた妹の肩にはまた赤いほくろがあった。
私はあの不安を思い出し、少しだけ笑えた。
私は少し大人になっていた。
昨日、おばぁちゃん家で湯船に浸かっていたら
右胸の上に今までなかったなにかが肌にできていた。
それは紛れもなく赤ぼくろだった。
家族だという証をもらえたような気がした。
少し泣いて、少し笑った。
私はまだ、子供だった。
1 件のコメント:
遺伝子って受け継がれますよね(*_*)
私にもあります!
耳のある部分に小さな穴。
みんなにみせると宇宙人といわれてたな(●^ー^●)
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