2011年7月5日火曜日

たばこのこと

小さい頃から、

タバコの匂いに落ち着く気がしていた。



親はヘビースモーカーで、

私はその匂いの元で育ったからだろう。



おばぁちゃんは大の禁煙家で、

うちの母へいつも口うるさく禁煙を訴えていた。



幼いながら、「好きにさせてあげればいいのに」と思っていた。





高校のとき、

はじめて本気で好きになった人がいた。

彼は喫煙者だったけど、

私に禁煙すると宣言した。



私はなんの疑いもなく、

辞めるのだと思っていたし、

なんだかその宣言が、

愛情のようにも感じて嬉しかった。



けれど彼は

私の知らないところで吸っていたし、

私も匂いで気づいてしまった。



タバコなんていくらでも吸ってくれと思った。



たかがタバコの嘘が、

幼く、純粋だった私にはあまりにも痛かった。



私が18の頃、

母が40歳になったら禁煙すると宣言した。



母は、「筋を通す」ことを

信念に持ってる人だったから、

母が辞めるって言ったら

きっと本当に辞めるんだろうと思っていた。



��0の誕生日には禁煙グッズをプレゼントした。



けれど母は三日も持たなかった。

堂々と言い訳をして私の前で吸い続けた。





そんな風に

人が禁煙を失敗する度に、

胸のどこかが冷えていくのを感じてた。





私はタバコを吸う事を悪いとは思っていない。



きっと音楽や、宗教と変わらない。

それが必要なら、

多分誰がなんと言おうと必要だから。





私だって分からずやではないつもりだ。

私にだってどうしても必要なものがある。



たまたまタバコは吸っていないだけのことだ。



分かってる。





けれど今は、タバコの匂いが

私の傷に触れていくのは確かだ。





きっと私は愛を持っても

太刀打ちできない人間の弱さに

悲しくなってしまうのだ。



何も悲しいことではないはずなのに。



人はとても不安定なもの。

バランスを整える為に

必要なものがあるだけのこと。





愛だけで人は救えないのだろう。













タバコの匂いが

いつまでも私について離れない。



「愛だけでは救えない」



と語りかけるように

1 件のコメント:

かいら さんのコメント...

やめてっていって自分は吸う。
なんか複雑ですよね。
かくれて吸われたらショックだなぁ(>_<)